ソフトテニスのマナーについての記事です。小中高生へ指導している方や保護者の方へ是非知っていただきたいです。
相手のミスに対する掛け声「ラッキー」
ソフトテニスの試合中における応援で気になることがあります。それは「ラッキー」という声掛けです。不思議なことにミスをした相手に向かって「ラッキー」と声掛けをするのです。
例えば、対戦相手がダブルフォルトをすると選手や応援は「ラッキー」と言います。
前衛がボレーミスをしたら、すぐに「ラッキー」です。後衛がストロークミスをしたら、またまた「ラッキー」です。
学校によっては、応援歌のようなものを作っていて、「ラッキーラッキーラッキー♪超ラッキー♪」などとラッキーを連呼して、歌ったりします。
どのスポーツにも選手自身が声出しをしたり、応援が選手に対して声掛けをする場面はあります。しかし、対戦相手に対してここまで「ラッキー」と言うスポーツはないのではないでしょうか。
ルールを確認してみる
この「ラッキー」という掛け声についてですが、ルール上はどのような規定があるのか確認してみます。
ソフトテニスハンドブックというソフトテニスのルールブックには、以下のように記載があります。
競技規則
(プレーヤーの心得)第15条
プレーヤーは互いにマナーを尊重し、次の事項を守らなければならない。
(1)過度のかけ声、又は相手を不快にする発声をすること
参考:ソフトテニスハンドブック
ラッキーという掛け声は相手を不快にさせる発声であるように思えます。しかし、試合中にラッキーという掛け声を発しても審判から注意を受けることはありません。
選手も応援もこの掛け声の異常さに慣れてしまっているようです。これは、ソフトテニス独特の習慣です。
掛け声は対戦相手ではなく自分自身へ
中学生の指導をしていると「声を出せ!」という指導をする顧問の先生も多くいます。もちろん、声を出すこと自体は良いことだと思います。
ソフトテニスはメンタルが大きくプレーに影響を及ぼします。例えば、試合で緊張して体が動かなかったり、気持ちが集中できずに本来のプレーができないような場面が中学生には多く見られます。
そんなとき、自分の気持ちを高めるために、声を出してボールを打ったり、良いショットが決まったらガッツポーズをして喜ぶといったことが効果的です。
声を出すことで、緊張がほぐれて練習通りのプレーができるようになります。
しかし、相手のミスに対して声を出すというのは間違っています。声を出すのは自分のパフォーマンスを上げるためであって、相手を侮辱するためではありません。
選手に対して「声を出さないから負けるんだ」という指導者もいますが、声を出しても技術がなければ負けます。選手によっては全く声を出さないほうが、いつもの力が出せる場合もあります。
声を出すことに捉われすぎると、声を出せば良いという精神論のようになってしまい、試合に勝つために技術を向上させるという本質を見失います。
相手を不快にさせる声掛けはやめようと伝える
ソフトテニスは硬式テニスと比較されることが多いですが、マナーについては硬式テニスと比較にならない程、遅れています。
硬式テニスでは、相手のミスに対して「ラッキー」などと言うことはありません。もし、こうした発言があれば、すぐに審判から注意を受けます。
小中高生でソフトテニスを始めた時に、指導者や保護者が不快な声掛けはやめようと伝えることが重要です。
ソフトテニス経験者は、「ラッキー」といった声掛けに感覚が麻痺しています。他の人から見れば、相手を侮辱する言葉が多用されるスポーツが魅力的であるはずがありません。
中高生の段階でこうしたマナーを身につけることができれば、その後も競技を続けていく中で、急に相手を不快にさせる声掛けをすることはありません。
指導者としても、ソフトテニスでの当たり前が他競技では当たり前でないことを認識し、正しいマナーを身につけさせたいと考えます。