中学生の試合では、後衛が何本もラリーを繋げてくれて、絶好のチャンスボールが上がってきたにも関わらず、前衛がミスをしてしまう場面が多く見られます。
前衛が勝敗のカギを握っている試合が多く、勝つためには前衛をどう育てるかが重要になります。今回は、前衛の上達に必要な3つのポイントを考えます。
手が届く範囲のボールを返す
まずは、正面ボレー、スマッシュ、ローボレーといった自分の手が届く範囲に来たボールを返せるように練習します。
前衛の基本技術ですので、練習で10球のうち8球くらいはミスなく返球できるように技術を高めていきます。
手が届く範囲のボールがミスばかりだと、相手ペアは前衛のサイドパスを狙ったり、アタックボールを打つことが多くなります。
相手の苦手なところを狙うのが勝負の鉄則です。前衛が弱いと相手に見破られてしまえば、前衛はずっと狙われ続けてしまいます。
また、後衛もペアの前衛が簡単なボールをミスばかりしてしまうと、自分から攻めていかなければと考えます。焦って無理やり攻めてしまうとミスが増えます。
自分の後衛に落ち着いてプレーしてもらうためにも、前衛は自分の近くにきたボールは確実に取らなければなりません。
正面ボレーについては、「正面ボレー上達のポイント」で触れましたが、自分からボールを迎えにいく感覚で打つように意識します。
スマッシュについては、相手が打ち損ねた自分の真上に上がったボールだけ打てれば良しとします。「スマッシュの練習方法!5つのコツ」という記事も参考にして下さい。
ローボレーも上達するとネットから離れた位置でも攻撃できるようになるので、非常に大切な技術です。
最初は、サービスライン付近に立って、自分の近くに来たボールをただ返球することだけできればOKとします。
いろいろなボールを取りに行く
手の届く範囲の正面ボレーやスマッシュが取れるようになったら、次は自分からボールを取りに行き、広い範囲も取れるように練習します。
例えば、飛び出しボレーと呼ばれるランニングボレーが出来ないと相手後衛にプレッシャーを与えられず、自由に打たれてしまいます。
しかし、正面ボレーなどの技術に比べて、飛び出しボレーは難しい技術です。慣れるまでは、自分が触るとミスしてしまうので、積極的に飛び出していくことができません。
特に上手な後衛と組んでいる前衛は、手を伸ばせば届くボールも後衛に任せてしまい、消極的なプレーになりがちです。
地区大会レベルまでは後衛1人の力で勝てることもありますが、県大会上位、ブロック大会、全国大会では前衛のポイント力が必須です。
後衛1人だけの力では限界がありますので、前衛にはミスをしても良いので積極的にボールを取りにいくように伝えることが大事です。
また、とにかくボールを取りにいくように伝えるとバタバタとした動きで、全部のボールに触ろうとする選手もいます。
最初は、後衛のファーストサーブが入ったら飛び出しボレーをする、相手の後衛が回り込んだら飛び出しボレーをするといったパターン練習を繰り返すのが良いです。
自分で考えて動く
同じ練習を繰り返していくと、飛び出しボレーなども決まったところに来たボールはだんだんと取れるようになっていきます。
しかし、試合では相手後衛の特徴によって来るボールが異なってきます。シュートボールは少なく、ロブが多い選手もいますし、その逆もいます。
つまり、相手に合わせてこのボールを狙っていこうと自分で考えて決断することが必要になってきます。
いわゆるセオリーを練習で身につけても、その通りに打ってこない後衛もいます。練習の時は、いつも一緒に練習している仲間ですので、相手後衛の得意不得意は分かります。
一方、大会では初めて対戦する相手がほとんどですので、練習と違うボールを打たれると迷ったり慌ててしまいます。
そうならないためにも、いくつかのパターンを身につけながら、自分で考えて動いて取りに行くクセをつけていかなければなりません。
前衛の決定力が向上すると試合にも勝てることが多くなります。「勝つためには前衛の決定力をあげる」の記事に詳しく書いています。
前衛が上達するポイントのまとめ
3つのポイントを挙げましたが、前衛指導は非常に時間がかかります。中学入学後にソフトテニスを始めた初心者の子が、何となく形になってきたなと実感できるのは2年生の夏から冬くらいです。
もっと早く上達させたいと思うのですが、手が届く範囲のボールを確実に返球できるまでが大変ですし、そのあとの飛び出しボレーも慣れるまではなかなか上手くいきません。
ただ、時間はかかりますが、前衛は練習すれば必ず上手くなります。中学3年生までに間に合えば良いと思いながら、地道に練習していくことが必要です。