7月8月は全日本実業団、インカレ、インハイ、全中、全小といったさまざまな試合が行われます。
インターネットのおかげで現地に行かなくても大会の動画を自宅で見ることができ、本当に便利な世の中になったものだと思います。
様々な世代の試合動画を見る中で、共通するのは「前衛の決定力の差」が勝敗に繋がるということです。
中学生は後衛が主体のペアが多い
中学生で県大会に出場するペアだと、後衛主体のペアが多いという印象です。後衛が有効打となるボールを打ち込み、上がってきたチャンスボールを前衛が決めるという形で得点を重ねるタイプのペアです。
こうしたペアは後衛が中心ですので、まずは後衛が攻めないと試合になりません。後衛がミスばかりしていると前衛が活躍する場面はほとんどありません。後衛が安定したラリーができないと前衛は何もしないまま負けてしまいます。
しかし、中学生でも関東・全国レベルの試合を見ると、後衛ではなく前衛が中心となって試合を組み立てるペアが出てきます。レベルが上がっていくと、前衛の決定力も上がっていきます。
前衛が自分から仕掛けていく
ペアの後衛が攻めてくれるのを待っているだけでなく、強い前衛は自分から仕掛けていきます。
仕掛けるとは自分の近くに来たボールではなく、積極的にボールを取りに行けるかということです。
例えば、相手後衛がつないでくるロブを追いかけてスマッシュを決めます。ポーチボレーも積極的に狙いに行きます。わざとコースを空けておいて、相手に打たせたボールを取ったりもします。
自分の近くに来たチャンスボールを確実に取れることは重要ですが、それだけだと相手にとっては脅威になりません。仕掛けてこない前衛だと分かれば、後衛と勝負すればよいだけなので、相手にとっては心理的に非常に楽になります。
しかし、仕掛けてくる前衛の場合、対戦相手は「取られるかも知れない…」というプレッシャーを感じます。ボールに触らなくても、そのプレッシャーだけで、相手のミスが勝手に増えていくこともあります。
慣れないうちは無理に仕掛けてミスが出たり、後衛が余裕で打てるボールを邪魔して打ってしまったりと失敗があるかも知れません。それでも、成長のためには前衛が仕掛けていくことは非常に重要となります。
前衛の得点を増やしていく
さらに、前衛が仕掛けるペアは何が違うのかと観察していると、後衛よりも前衛による得点が多いことに気づきます。
例えば、レシーブでも積極的に攻めていき、前衛アタックや後衛のバック側などに鋭いボールなどを打つことができます。他にもボレーやスマッシュなどでの得点が多くなり、1ゲームに2、3点決めることもあります。
後衛主体のペアだと、前衛は自分の後衛がチャンスボールを打ってくれれば、確実に決めることができます。しかし、相手後衛のほうが実力が上の場合は、チャンスボールが来ないので得点することが難しくなります。そこで、前衛が自分で仕掛けて得点することで後衛を助けることが必要になってきます。
駆け引きのできる前衛になる
自分で得点できるようになると、工夫次第でいろいろな動きができるようになります。例えば、わざとサイドを空けておいて、打ってきたボールを守る。相手後衛のバック側にレシーブを打って、浮いてきたボールをスマッシュで叩く。攻め方は無数に存在します。
相手がどこに打つか予想して動くことは面白く、上手くいくと次はこっち、その次はこっちというように相手との駆け引きができるようになります。
本当に強い前衛と対戦すると相手後衛は打つところがなくなるような感覚があります。広いコートのどこに打ってもよいはずなのに、何本も前衛に取られるとどこに打ってよいのか迷ってしまうのです。こうした相手との駆け引きができるようになると前衛として1人前と言えます。
まとめ
中学生は自分から仕掛けられる前衛は少なく、後衛に任せて試合を進めてしまうことが多いです。しかし、後衛だけの力で勝ち上がるのは次第に難しくなり、勝つためには、前衛が中心となって得点を取るペアに移行していくことが必要です。
前衛は自分の近くに来たボールを取るだけでなく、仕掛けることができるようになると前衛としてのレベルが一気に上がっていきます。
いつまでも後衛任せではなく、自分が試合を動かすような意識でプレーできる前衛を目指していくことが重要です。