強豪校への越境入学の増加

全中が終わりました。出場した学校を見ると、毎年全中に出場している伝統校や強豪校と呼ばれる学校があります。

私立の学校であれば、ソフトテニス指導に長けた顧問を採用し、特定の部活を強化することも可能です。しかし、一般的な公立校は校区が定められ、校区外からの通学は認められません。

そのため、強豪校に入学し、有名な顧問に指導を受けるために転居して、校区内に居住する家庭もあります。今回は、校区外の学校に入学する、「越境入学」について考えます。

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越境入学の許可

部活動を理由にした越境入学を許可している自治体もあります。例えば、高知県高知市では部活動を理由とする校区外の学校への入学を認めています。

参照:部活動を理由とする指定学校変更(高知県高知市)

実際に、私の住む地域でも、越境入学をする家庭があります。部活のために地元を離れ、校区外の学校に入学することに批判的な意見も聞きます。

例えば、小学校で実績のある選手が入学してくると、地元の選手が活躍できる場がなくなってしまうという批判があります。

あるいは、中学校の部活動は勝つことだけが目標ではなく、与えられた環境で切磋琢磨することが大事であり、校区の学校で頑張ればよいという批判などです。

しかし、以下の理由から個人的には今後はこうした動きが中学でも多くなっていくでしょう。

ジュニア出身選手の居場所がない

ジュニア出身選手は、各小学校ではなく地域のクラブチームに所属して練習をしています。全小に出るような子供達は中学校でもソフトテニスを続けることがほとんどです。

しかし、校区内の学校はソフトテニス部がなかったり、部があっても弱かったりして、魅力に欠けます。もしこうした学校に入学しても、ジュニア出身の選手は居場所がありません。練習相手もいませんし、ペアも中学校から始めた選手になります。

ペアが中学校から始めた選手の場合、 試合になれば中学校から始めた選手を狙うのは鉄則です。中学校から始めた選手にとっては自分ばかり狙われて惨めな思いをしますし、 逆にジュニア出身の選手は、自分の所にボールが来ないのでストレスが溜まります。

強豪校に行っていいれば、もっと活躍できたはずだと思う選手を今まで何人も見てきました。校区内の学校で頑張り、全中を目指せば良いといっても、練習相手もペアもいない状況は過酷です。

ソフトテニスの指導をできる先生が少ない

強豪校は強い選手がいるだけでなく、有名な指導者が教えていることがほとんどです。どんな指導を受けるかによって、選手の上達度は変わっていきます。できるだけ優れた指導者に指導を受けたいものです。

しかし、公立の学校は人事異動があり、一つの学校に何十年も勤務できるわけではありません。実績のある指導者は人事異動を繰り返しますが、その指導者に教えてもらいたくて越境入学をしてくる選手もいます。

結果として、良い指導者のもとに良い選手が集まり、特定の学校が強くなります。公立学校であってもジュニア出身の強い選手が集まり、私立にも負けない充実した環境が出来上がります。

運動部活動の在り方とは

スポーツ庁では以下の通り、運動部活動の在り方を示しています。

 ・ スポーツの楽しさや喜びを味わい、生涯にわたって豊かなスポーツライフを継続する資質や能力を育てる。 

・ 体力の向上や健康の増進につながる。

 ・ 保健体育科等の教育課程内の指導で身に付けたものを発展、充実させたり、活 用させたりするとともに、運動部活動の成果を学校の教育活動全体で生かす機会となる。

 ・ 自主性、協調性、責任感、連帯感などを育成する。 

・ 自己の力の確認、努力による達成感、充実感をもたらす。 

・ 互いに競い、励まし、協力する中で友情を深めるとともに、学級や学年を離れて仲間や指導者と密接に触れ合うことにより学級内とは異なる人間関係の形成につながる。

参照:運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン

充実した部活動となるには、自分が活躍できる場が必要となります。越境入学をして、日々充実した部活動を得られるのであれば、校区内の学校に縛られる必要はないと思います。

越境入学の今後

越境入学が増えていくと、今よりも一層特定の学校だけが勝ち上がる状況となっていくかも知れません。強豪校は良い選手と良い指導者が協力して、常に全国大会出場を目指します。

一方、中学校からソフトテニスを始めた選手は、全国大会の上位進出を目指すより、体を動かしスポーツとしての楽しさを感じながら、競技に取り組みます。

今まで以上に部活動は多様化し、学校によって取り組み方が大きく変わっていくはずです。