ソフトテニスでは低年齢化が進み、全中などで活躍する選手のほとんどがジュニア(小学生以下)から競技を始めています。
こうした状況では、中学校から始めた選手が3年生で引退する2年半で、ジュニア出身の選手に追いつき、追い越すことは簡単ではありません。
以前、「部活動と練習時間」の記事でも書きましたが、ある一定以上のレベルになるには相応の練習時間が必要です。
しかし、高校生では徐々にジュニア出身者との差が小さくなり、大学生まで続ければ、いつからソフトテニスを始めたかはそれほど大きな違いではなくなります。
幼い時からソフトテニスを始めたからといって、優位になるのは中学生くらいまでなのではないかと考えます。
親の影響でソフトテニスを始める
親がやっている競技を自分の子どもに経験させるということがあります。2020年の東京五輪が近づいていますが、親子2代でオリンピック選手ということもあります。
先日、女子の卓球選手のオリンピック選考レースについて大きく報道されていました。個人戦の出場枠を争っていた石川佳純選手と平野美宇選手は、ともに両親が卓球選手であり、幼いことから卓球を始めていたようです。
卓球は高速でボールを打ち合う競技なので、反応速度に慣れるためには幼少期からの経験が重要なのかも知れません。
英才教育という言葉もありますが、教育だけで才能が伸びるわけではなく、本人の努力によるものも大きいことでしょう。
ソフトテニスのトップ選手の親がソフトテニスの指導者だったり、元トップ選手だったりというのはよく聞く話です。
早くから競技を始めれば、有利になる技術も多いです。ソフトテニスでも、ショートボールを打つ感覚などはジュニア出身の選手は優れています。
自転車の乗り方と同様に、コツを身につけるのは幼少期のほうが意識しなくても、簡単にできることも多いように思います。
ソフトテニス以外の競技も無駄にならない
できるだけ早く競技に取り組むことで有利になる面もありますが、他の競技をしていてもそれが無駄になることはありません。
例えば、硬式テニスで活躍しているナダル選手や錦織選手は幼少期にサッカーをしていたようです。
水泳などの左右均等に体を動かすスポーツでは、左右の筋肉を均等に使います。一方、ラケットスポーツでは道具を左右どちらかの腕で持たなければなりません。
しかし、ラケットを持たない方の腕の使い方も非常に大事です。ラケットを持たないほうの腕がブラブラと不安定な状態では、力強いボールは打てません。
サッカーや水泳などの全身運動を行う競技で身についた身体の使い方は、ソフトテニスでも必ず重要になります。
私が中学生の時は、同級生にジュニア経験者はいませんでした。しかし、同じスタートラインあっても、ラケットにボールをすぐに当てられる同級生が何人かいました。
彼らに共通していたことは少年野球を経験していたことです。考えてみれば、バットにボールを当てようと練習してきたのですから、彼らがバットより大きなラケット面にボールを当てることはそれほど難しくないでしょう。
また、守備でフライを捕ったり、ゴロを捕ったりすることはボールの落下点を予測しているわけです。これはまさにテニスでのスマッシュやストロークを打つために落下点に移動することに繋がっていきます。
バーンアウト(燃え尽き症候群)
バーンアウト(燃え尽き症候群)という言葉があります。長い時間目標を達成するために努力しても結果が伴わず、情緒的・身体的な消耗状態を表します。
ソフトテニスでも高校生までソフトテニスを続けていた選手が、その後は競技から離れてしまうことが多いです。
そのため、ソフトテニスの競技者のほとんどが中高生となっています。もちろん続ける環境が整っていないという課題もあります。
しかし、小学3年生頃からソフトテニスを始めれば、高校卒業まで10年くらいソフトテニスを続けたことになります。
1つのことを10年続けられただけでも凄いことです。飽きてしまい、もう辞めてもいいかなと思う気持ちも出てきます。
競技を始める年齢が早いとこうした現象も出てきてしまいます。
怪我のリスクについて
また、低年齢化によって怪我のリスクも高まります。
同じ動作を何年も何年も繰り返せば、その部分に支障が出ても仕方ありません。特に筋肉や骨格ができあがっていない幼少期において過剰な運動を繰り返すことで怪我の可能性は高まります。
ソフトテニスは柔らかいゴムボールを打つので、身体にかかる負荷は少ないように思えますが、絶えず足を動かすスポーツです。疲労は蓄積し、1日に数試合行えばかなりの運動量となります。
また、ソフトテニスは夏の暑い時期にも屋外で競技を行います。全小・全中・インターハイなどは7月下旬から8月上旬に行われ、日中は気温が非常に高くなります。
その中で数試合の試合を行うことは、選手にとって非常に負荷がかかります。もちろんこうした過酷な本番の試合を想定して、普段の練習はよりハードなものとなるでしょう。
低年齢化が進むソフトテニスですが、こうした怪我の可能性も考慮しなければなりません。
小学生からソフトテニスを始める子が増えているのまとめ
ソフトテニスの低年齢が進んでいますが、メリットばかりではありません。また早期に競技を始めたからといって必ず良い結果に得られるわけではありません。
子ども達にとって最良な状況は、本人たちが主体的に好きな競技に取り組むということです。
親や指導者はその子の可能性を伸ばすためにベストを尽くしても、本人が望まない競技を続けるのは酷です。
小学生低学年からソフトテニス1本で勝負する!のではなく、いろいろな競技を経験しながら、ソフトテニスに取り組むほうが結果にも繋がりやすいと考えます。