部活動が一律に制限されていた時期を経て、現在はコロナウイルスが流行していない地域では部活動も再開されてます。
そんな中、気になる発表がありました。部活動は今まで学校の顧問が指導をしてきましたが、今後は学校から外部に移行していくかも知れません。
学校での指導ではなく、地域や民間のスポーツクラブ等に指導を委託するような動きが始まっています。
今回は、教員の負担軽減策の1つとして話題となっている「休日の部活動を民間に移行する動き」についてです。
休日の部活動の地域移行について
令和2年9月1日、文部科学大臣を本部長とする「第4回学校における働き方改革推進本部」が開催され、部活動の改革などについて議論が行われました。
そこで、「休日の部活動の段階的な地域移行(令和5年度以降、段階的に実施)」について議論がありました。
学校における働き方改革推進本部(第4回)の資料(学校の働き方改革を踏まえた部活動改革についてのとりまとめ等)
この資料の中で部活動の地域移行については以下のように触れられています。
Ⅰ.休日の部活動の段階的な地域移行(令和5年度以降、段階的に実施)
・休日の指導や大会への引率を担う地域人材の確保(育成・マッチングまでの民間人材の活用の仕組みの構築、兼職兼業の仕組みの活用)
・保護者による費用負担、地方自治体による減免措置等と国による支援
・拠点校(地域)における実践研究の推進とその成果の全国展開【参考】学校における働き方改革推進本部(第4回)の資料「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革 概要」
実践事例について
既に岐阜県では実践モデルになりそうな取り組みを行っている地域があります。
【参考】休日部活動、スポーツクラブに移行 竹鼻中で試み(岐阜新聞Web)
記事によれば、休日の部活動は地域のスポーツクラブに移行させ、教員ではなくスポーツクラブの指導員が指導を行います。
休日の指導はスポーツクラブに任せることで、学校の顧問は休日の部活指導から解放されます。一方で、生徒達は競技に詳しい指導員から、高いレベルで指導を受けることが可能となります。
民間委託のメリット
民間に委託することで生徒達にとっては高いレベルの技術指導を受けられることは、メリットです。
部活動の顧問はその競技の専門ではないことがほとんどです。私も今まで何人もの顧問の先生とお話させていただきましたが、ソフトテニス競技経験のある顧問の先生は数人です。
多くの先生が学校事情で特定の部活動を持たされているのが実情です。そんな顧問の先生にとっては、生徒指導ができても技術指導ができないことが悩みとなります。
熱心な顧問の先生ほど、生徒達を成長させて、ソフトテニスを上手くさせたい、試合に勝たせたいと思うものです。
顧問の先生は技術指導を地域や民間のスポーツクラブにお願いできれば、負担が軽減され、生徒達も高いレベルの技術指導を受けることで成長に繋がります。
民間委託のデメリット
一番懸念されるのは、地域や民間のスポーツクラブから学校や顧問への要望が強くならないかということです。
生徒達は、休日に学校以外で指導を受ければ、平日の練習が物足りなくなるかもしれません。外部の熱心な指導者は学校でも練習時間を増やして、こんな練習をして欲しいと要望してくるかもしれません。
これは私自身もそうならないように意識していることですが、熱心になるあまり、他の人にもその熱量を要求してしまうということです。
例えば、誰と誰をペアで組ませたほうが良いとか、団体戦はこのようなオーダーでいったほうが良いといった細かいことまで外部の指導者が意見するようになるかも知れません。
教員の負担軽減策が教員負担増加にならないように注意しなければなりません。これは、私を含めた外部の指導者が意識しておくべきことです。
部活動(ソフトテニス)の民間委託のまとめ
休日の部活動を地域や民間のスポーツクラブに移行する動きが活発していけば、結果として部活動そのものを考え直すきっかけにもなります。
ソフトテニスは低年齢化が進み、中学校から競技を始めた選手がすぐに結果を出すのが難しい状況になっています。
全国大会を目指すような選手と中学校から始めた選手が同じ部内で顧問から一斉指導を受けている今の方法は限界にきているのかも知れません。
休日だけでも生徒個々のレベルに応じた指導が受けられるようになれば、生徒達のモチベーションも上がりやすく、単なる教員の負担軽減策以上の効果となることでしょう。
「部活動の民間委託」の取り組みを各学校で上手く活用することで、生徒と教員にとってベストな部活動となっていくことを望みます。