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部活動指導員と外部指導者の違い

教員の働き方改革が議論されていますが、外部の人間を活用して少しでも教員の部活動の負担を軽減しようとする制度が導入されました。それは「部活動指導員」の制度です。

「部活動指導員」と「外部指導者」の2つについて触れられていますが、違いが分かりにくいため、違いをまとめていきます。

一番大きな違いは、「大会への引率が可能かどうか」です。

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部活動指導員制度について

平成29年に文科省から部活指導に関する以下の通知が出ています。部活動指導員を活用して教員の負担を軽減しましょうという内容です。

中学校、高等学校等において、校長の監督を受け、部活動の技術指導や大会への引率等を行うことを職務とする「部活動指導員」を学校教育法施行規則に新たに規定。

出典:部活動指導員の制度化について

既に部活動指導員の活用を始めている各都道府県もあります。制度を導入した学校での成功事例が増えて行けば、今後はこの制度を導入する学校も多くなっていくかも知れません。

「部活動指導員」とは?

では、部活動指導員とはどのような役割を果たしていくのでしょうか。1番のポイントは、「部活動指導員は、大会への引率が可能であること」です。

今までも部活動での外部人材の活用の取り組みはありました。部活動指導員ではなく、「外部指導者」という名称です。外部指導者は部活動での技術指導が可能です。

しかし、顧問が不在の場合に、外部指導者だけで部活を行うことはできません。また大会や練習試合等の引率はできませんでした。

私自身、部活動指導員の経験はまだありませんが、外部指導者としての指導経験はあります。幸せなことに、私が外部指導者として関わった学校は顧問の先生、生徒、保護者が目標に向かって一致団結していました。

皆が上手くなりたいという気持ちが強く、土日の練習試合や大会にも積極的に参加しようとしました。しかし、どうしても顧問の先生が引率できず、大会に参加できないこともありました。せっかく強豪校と試合ができるのに、残念だなと思ったこともあります。

部活動指導員は大会への引率が可能となりますので、顧問の先生の不在時にも生徒達に指導ができるようになります。

その他の違い

大会への引率以外にもいくつか部活動指導員として可能となったことがあります。

以下に一覧を載せておきます。

部活動指導員外部指導者
実技指導〇(可)〇(可)
大会や練習試合等の引率〇(可)×(不可)
生徒指導に係る対応×
安全障害予防に関する知識技能の指導
×
年間・月間指導計画の作成×
部活動の管理・運営×
保護者等への連絡×
用具施設の点検管理×

外部指導者ではできないことが、部活動指導員はできるようになります。しかし、すべて外部指導者の自由ではありません。

学校長は、外部指導者を顧問として任命できますが、教諭の顧問を置かない場合は、その部活動を担当する教諭を指定し、必要な職務に当たらせなければなりません。

また、外部指導者は、部活動の顧問である教諭等と密に連絡を取らなければならないという規定もあります。

部活動指導員の課題

教員の負担軽減の施策である部活動指導員制度ですが、課題もあります。

まず、安全面での配慮です。部活動指導員が単独で指導している場合に事故等が起これば、その責任は部活動指導員が負うことになります。

部活指導員は競技に関する指導能力は高いかも知れませんが、生徒への安全指導についての知識には乏しいかも知れません。

部活指導中に緊急事態が発生した際、適切な判断を行い、行動が取れるような人材を確保しなければなりません。そのための研修などの充実も必要となることでしょう。

次に、勝利至上主義に陥る危険性です。

部活指導をしていると、

「もっと子供達に上手くなって欲しい」

「練習時間を増やしたい」

「絶対にあの学校に勝ちたい」

といった感情が湧いてきます。

そうなると勝つために厳しい練習をさせるようになります。また、テニスの上手い子だけへの指導になりがちです。顧問の先生と外部指導者の2名体制であれば、お互い話し合いながら、部活運営ができます。

ある生徒は部活動には熱心ですが、学校生活の態度は良くないなど、部活以外の時間はどう過ごしているか知ることができます。

部活動指導員単独で指導するようになれば、テニスさえ上手ければ良い、勝てば良いという考えに偏る恐れがあります。

部活動指導員制度のまとめ

部活動指導員制度について課題はありますが、これから活用が期待されます。特に部活動の技術指導に不安のある顧問の先生は、部活動指導員と協力することは重要です。

技術指導は部活動指導員が担い、顧問の先生は生徒指導を中心に行うなどの役割分担もできます。子供達が良い環境で部活動に取り組めるように、部活動指導員制度が広まることを期待します。

制度の導入から2年が経過し、活用する学校も増えています。

また、ソフトテニスの公認指導者という制度もあります。民間委託も本格化すれば需要が増えるかも知れません。

 

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